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さまそに!2022(The 1975)

2022/08/22 10:17

#音楽ライブ

SUMMER SONIC 2022に行ってきました。初日の8/20のみ。
夏フェス参加は2019年のフジロック以来3年ぶり。サマソニ自体は2016年以来なので6年ぶり。いや、6年ぶり…?そんな前?意味不明ですが、最近はそんなことばかりなのでこれ以上言うのはやめにする…。

見たアーティスト
The Linda Lindas (少し) → Beabadoobee → Squid → Maneskin → The 1975

この夏はリモートワークも相まってひたすら家に引き篭もるもぐらのような生活をしていたので、本当に楽しめるのかは懸念有りと思料という感じでしたが、トータルの感想としてはとても楽しかったし、行って良かった。
当初Libertinesを見れることが一番の楽しみだったものの、敢えなくキャンセルとなってしまったこともあり、1975を怒涛の予習して臨みました。「1975完全に理解した」とまでは言いませんが、彼らに対する認識や音楽の聴こえ方はかなり変わりました。
2枚目まではそれなりに聴いていたけれど、まぁオシャレなアイドル系ポップバンドでしょ〜程度の認識だった。(その程度のバンドじゃないことは2019年のサマソニの反響などで薄々感じてはいたものの、それ以降もスルーしていた。)今回、予習する中で歌詞の対訳を読んだり、様々なメディアや個人ブログの記事を読み漁りながら音楽を聴いていくうちに、完全にその認識を改め、反省した。

そしてライブも素晴らしいパフォーマンスで本当に胸を撃たれました。まず登場の時点でバチボコカッコよかった…。幻想的な照明とスモークの中、美しいピアノとサックスの演奏が始まり、ゆっくりとメンバーが登場する。ステージ脇のモニターに、スーツにサングラス、そしてタバコに火を付けるマシュー・ヒーリーがモノクロで映し出され、If You're Too Shy (Let Me Know)のイントロが鳴り響く。いきなりこの曲…!その時点で俺はもう失神しかけていた。あまりに完璧だった。「この瞬間のことをきっと二度と忘れないだろう…」そんな思いを抱くライブ体験は久し振りだった。
キラーチューン連発の序盤に興奮しながら、あまりに「序盤にやらんだろう」と思っていた曲ばかりで「前半に畳みかけんな…」と心の中の四千頭身後藤が顔を覗かせていたが、そんな後藤は全くの杞憂で、中盤のメロウなモードも終盤のアグレッシブさからの大円団も本当に全てが美しくてカッコよくて凄まじかった。音楽のライブでこんなにも様々な感情が押し寄せ、それでもなお一つのまとまりあるライブとなっている強靭さ。マシュー・ヒーリーのパフォーマンスの素晴らしさと、その一方で終始漂う存在自体の危うさ(水筒に日本酒?入れて持参し、たびたびお猪口に注いで飲んでたのは笑った。そういう可愛さ、可笑しさも良い)。最高のロックバンドのライブだった。俺は今自分の語彙力にうんざりしている。とにかく最高だった。

「I Always Wanna Die (Sometimes)」はどうしたって大好きな曲。マスク越しにこっそり口ずさんで泣きそうになってしまった。


僕には身を切るようなつらいことやシリアスな事情があるわけではないし、最近のことで言えば比較的楽しく生きてるし心身共にわりに健康で呆れるくらいだけど、人生なんていつだってずっとI Always Wanna Die (Sometimes)じゃないですか。生き延びる理由なんて多くあるわけじゃないし、かといって今すぐ死ぬ理由もないのでとりあえず生きていく。できれば労働なんてしたくないけど、しないと野垂れ死ぬ、は言い過ぎとしても余計生きづらいので一応まともな社会人として振る舞う。曲を作ったりそれを発表したりして何かあるわけでもないけど、その過程は楽しかったりするし、少しでも良いと言ってもらえたらそれは嬉しい。幸い周りの人や環境にはかなり恵まれているものの、自分の人生において大きな期待感みたいなものは特に無いし、ひとたび社会や政治の事などに目を向けると嫌気が差すこともあるけど、世の中には感動することだって存在するし、できるだけ簡単には諦めたくない。そんなことを思う。大好きな映画の『シング・ストリート』にHappy Sad なる概念が出てくる(僕はそんな表現が最も好きだ)。1975の音楽こそがHappy Sadだと思った。来年の来日公演もとっても行きたいよ。

今年のサマソニは色々議論を呼ぶ出来事があったりしたけど、自分はそれを目撃した当事者でもないので何かを言うのはやめておく。ムカついてTwitterに多少書いたりしてしまったが自分自身そんな立派な人間でもないし、戦争や排外主義や全体主義などは死んでくれと思うけど、それを自身の表現に載せようとは特に思っておらず(まぁまず自分を表現者として語るのも烏滸がましいが…)、歌詞なんて殆ど妄想だし、「ここではないどこかへ…」とか「あの一瞬が…」みたいなことばかり言う(そんなことしか言いたくない)所詮は現実逃避的な表現しかできない矮小なリーマン宅録野郎で、ただそんな自分を顧みて惨めになるだけだった。ので悲しむに留める。

できるだけ物事の良い面を見たいと思う。冒頭にも書いたけど、今回のサマソニは楽しかったし行って良かった。クリマンに感謝。コロナを経てもう自分が若者だとは胸張って言えない年齢になっていく中で、今年行かなかったら以降は夏フェスなどを敬遠する人生になっていたかもしれない(まず来年だって無事開催できるのかは分からない)。フェス自体に対しても色々思うことはあるものの、普段普通に生活しているだけでは出会えなかった音楽に出会える。それが何より素晴らしいと思う。(今回のアーティストだとSquidなど。ライブは終盤しか見れなかったけどこれもめちゃめちゃよかった。)本当に音楽が好きなら日常的に能動的に音源掘れやと言われそうだけど、僕はそこまで徹底できなくて、バンドという物語やその人物のニンに惹かれて好きになることが多かったり、ライブを見て初めて良さに気付く、という経験も多々ある。
年食っても体力を言い訳せずにライブに行ける人間でありたいね…とりあえず最近始めたフィットボクシング頑張ります。