こんにちは。
8月26日にニューシングル「The Myth of Summer」を配信リリースしました。
Discographyページにも追加してますが、また大方のサブスクリプションサービスで聴くことができます。
https://album.link/s/7yXB8ziLEWlcIfWnpNLPfi
さて、このままだと夏の終わりの予定の無い土日をダラダラして終わる気配があったので、折角ブログも作ったんだし、ということで楽曲について少し書こうと思います。
セルフライナーノーツ的な?そんな大それたモノではありませんが。それにわざわざそんなことをするに値する楽曲なのか、というツッコミも既に自分の頭の中から聞こえているけれども。僕自身が文章を書くことでしか考えを整理できなかったりする人間なので、少々言い訳がましくて恐縮ですが、これは自分のためでもあります。それに、僕個人的な意見としては、作者自身のライナーノーツとか、結構読むの好きなんですよね。同じような方がいらっしゃれば、気軽に楽しんでいただけますと幸いです。
はじめに
この2曲入りのシングルは言うまでもなく、夏の曲が収録されています(きっとそこら辺の小学生でも分かるでしょう)。いずれの曲にもタイトルに"summer"と付けるのは、流石に品が無さすぎるのではあるまいか、という意見も脳内では挙がっておりましたが、耳を傾けることなく独裁者的に決行。それ以外に良いタイトルが思い付かなかったし、再生する前から「これは夏の曲なんだ」と分かったうえで聴いて欲しかったという気持ちもある。それ以上に、ただ単純に自分自身が思いっきり夏をやりたかったというのが一番の理由かもしれません。
前作の「Frost Flower e.p.」を出したあと、表題曲が冬の曲であったにも関わらず6月にリリースをしてしまったことに多少心残りがあり、次は季節に合った曲を出そうと考えていました。(最近の自分はというと、気付いたらまた季節変わってんなぁ、などとつまらない事ばかりを感じる大人になってしまいましたが、心では「あい変わらず季節に敏感にいたい」と思っている人間です。)
その時点で「次の季節」は夏でした。僕は概念としての夏が好きです。夏に合う曲を出すぞ、と強く誓いました。
残念ながら僕は一般的な方法で夏を謳歌できるような人種ではありませんが、そんな自分でも夏はある種の予感めいたモノを感じずにはいられません。それは夏休みがあった学生時代の感覚を消し去れなかったり、今まで自分が胸を打たれた夏の作品から受け取った感覚が疼くからでしょうか。しかし現実は、あまりに暑すぎるのが東京の夏。何もできずクーラーの効いた部屋に篭るしかない、なんてことも分かりきっているのですが。
それでもやっぱり概念として夏に惹かれてしまう。夏が終わると無性に切ない。
そんな、夏をしたくても夏ができない自分が、せめて音楽では夏をしようと思い、作ったシングルです。
1. The Myth of Summer
一聴してお分かりの通り、かなりストレートなギターロック。
今やもう2022年なのだから、こういう音楽に嫌気が差している方も中にはいるかもしれませんが、自分の場合、"夏"となると真っ先にギターロックとなってしまう。それはすみませんとしか言いようがない。
Number GirlとBase Ball Bearばかり聴いて、夏や青春を補完していた学ランの自分がどうしても根っこにある。それならばもういっそのこと、あの頃の感覚をやろうと思った。あれ、懺悔の時間みたいになってきたな…。
これは小声で言いますが、近年の「夏といえばシャレオツにチル」みたいな空気感に、そうじゃねぇだろと思う気持ちも多少あったかもしれません。
制作するうえで一番影響を受けたのは、前述した通りNumber Girlであったり、あるいはBloodthirsty Butchersであったりします。
それらを自分好みにアレンジした感じでしょうか。具体的にはギターはコーラスやリバーブ強め、メロディーはポップに、ボーカルは男女ツインボーカルっぽくみたいな。
制作当初はブッチャーズを意識したので、最初のデモはもっとBPMが遅くて(たしか110台くらい)、ジリジリした感じでした。
そうならなかった一番の要因はサビメロで、ここがだいぶポップなのができてしまったので、迷った結果BPMをかなり上げて、ドラムはアヒトイナザワ感でバコスコやって、みたいな流れで、後から結構ナンバガ感が付いていった。Aメロも少し音程を上げるような形に変更しました。メロディー自体にナンバガの影響はない気がしますが。
出来上がりはわりと爽やかになったけれど、基本的にずっと真ん中寄りでFUZZかましたギターのコードが鳴ってて、そこがジリっとしたアクセントに多少なっているのではないかと思っています。軽い爽やかギターロックにはしたくなかったのですよね。海の波のようなサウンドと、都会のジリジリとした暑さを感じるようなサウンド、いずれも感じられるようなものを意識しました。
要所要所で弾いてるリードギターのフレーズはブッチャーズの「プールサイド」を意識。
上記で書いたような経緯で、結果としてサウンドのブッチャーズ感みたいなものはあまりないかもしれないけれど。
ギターソロの裏で頑張ってるベースが何気におもしろポイントなのですが、それは結構ブッチャーズの射守谷さんの影響かもしれません。
ナンバガの「Wave Of Mutilation」カバーや、ブッチャーズの「プールサイド」カバーもちょっと入ってるかも。
サビのキメっぽい部分とか。
あと左chのサイドギターはほとんど1、2弦開放の"オレ押さえ"なので、その辺もナンバガですね。
曲構成はかなりSuiseiNoboAzの「PIKA」。
ボアズもめちゃくちゃ夏だと思っている。特に2枚目、3枚目が自分は大好きで(PIKA違うけど)。
ギターソロも石原正晴の「ファズ!!」の気持ちで弾いたりした。
ツインボーカル感はBase Ball Bearの「ELECTRIC SUMMER」(まぁ僕は相変わらず全部自分で歌ってるんですが…)。
あとこの曲の歌い出しの「街と海の狭間で」というフレーズはまんまサビで引用。
イントロの頭部分はくるりの「Superstar」。
良い曲だなぁ。
ちょっと前に松本大洋の「GOGOモンスター」を読み返したとき、もしかしてスーパースターってこれがモチーフになってる?などと思ったんですがどうなんでしょう。
サウンド面の影響はそんなところでしょうか。俺の好きな邦ロック詰め合わせみたいな内容だ。
なんていうか、この曲はチャリを漕ぎながら聴いて欲しい気持ちがあります。
Music for AirportsでもMusic for Carsでもなく、Music for Bicycle。まぁ道路交通法違反なんですが…。危険なのでやめてください。無念。(もちろん、法を犯さない方法であればどんなシチュエーションでも、聴いていただけるだけで嬉しいです。)
そういえば、Seesaw Seagullの曲としては初めてエフェクターの実機を踏んで録りました。
今まで音作りもガレバンでしていたのですが、どうしても今回は物足りなさがあり、実際にFUZZをぶちかました。
BD2、 TURBO RAT、 Green Russian BIG MUFF(Nano)、SMALL CLONE辺りを主に。(い〜や、大学生のエフェクターボード〜と東京ホテイソンが言っている。)
タイトルの「The Myth of Summer」の"The Myth of"の部分は、映画「アメリカン・スリープオーバー」の原題「The Myth of the American Sleepover」より。
とても好きな映画です。作中における「10代は神話なんだ(大人になると取り戻せない神話のようなもの)」といった表現がとても印象深くて、自分の中にずっと残っていた。
今は亡き渋谷のアップリンクで観て、いたく感動した心で夜の奥渋がキラキラして見えたのもよく覚えている。
歌詞の「あの夏の群像」というのも、恐らく上記の映画だったり、あるいは「海がきこえる」だったりするのでしょう。
ちなみにいたく感動したとか言っておりますが、当初「Myth」を「マイス」と間違って発音しており、あえなくコーラス録り直しました。英語できないんや。
ほぼ全てのパートを録り終えた後のある日、寝起きの頭でボンヤリしながらふと「あれ、Mythって"マイス"で合ってんのかな…?」といきなり思ったんですよね。危うく己の無知さを全世界に晒すところだった…。
結果的に"ミス"という発音によって、Miss of Summerというような捉え方もできる…?(まぁthなので厳密には…とかあるけど)
歌詞に関してはあまり書くことがない。
夏の神話のようなシーンに自分(歌詞の主人公)もいた、あるいは目撃した。現実だったのか、虚構だったのかは分からないけど。
消えゆくものや終わりゆくものを美しいと感じるように人間はできているそうです。何かで読みました。
自分が歌詞を書くとそんなことしか書けないのです。もっとうまく書きたいけど。
基本的に歌詞はファンタジーですが(自身の実体験から書いてるわけではないという意味で)、メンタリティは自分自身という気がしています。
あ、歌詞の記法としては、初期Base Ball Bearみたいなことを半ば遊びでやっています(見れないと思いますが)。詞も17歳マインド。
そして今回新たな試みとしては、ミックスまで大体やって、最終ミックスとマスタリングはDonut Real Elephantの米田さんにお願いしました。
自分のミックス音源だとのっぺりした感があったのですが、かなりメリハリ出てお気に入りのサウンドになりました。
忙しい中、細かくやり取り頂いて感謝です…。
余談ですが来週久しぶりにライブ見に行く予定です。楽しみ。
2. Crazy for the summer
サウンドとしては、1曲目で散々ギターロックはやって満足したので、もうちょっと宅録っぽいインディーポップっぽいモノもやりたいなと思って作った。
たしかイントロのシンセのフレーズを作って、そこから広げていったはず。
しょっぱなの右chのフレーズはLetting Up Despite Great Faultsの1枚目の感じとか、そういう雰囲気をイメージした気がする。
これは完全に書きながら初めて思ったんだけど、Youth Lagoonの「17」も多少入ってるかもしれない。
Youth Lagoonはこのアルバムめちゃくちゃ好きですね…。
元々好きな曲でしたが、映画「キングス・オブ・サマー」のエンディングで流れて特別になってしまった(この曲がエンディングと知らずに観に行った)。
映画の内容というよりは、ラストシーンとこの曲が流れる締め方がもう、完璧で。声出そうになった。
Crazy for the summerに関しては、全体的なサウンド感はUS(特に西海岸)インディポップのようなイメージ。
Day WaveとかHazel Englishとか。LAで活動してることもあってか、作品から常に夏っぽさを感じていました。あと彼らも宅録アーティストなので、そういったリスペクトもあり。
Day Waveは1枚目のThe Days We Hadを一番聴いてたんですが、サブスクに無いんですよね。
具体的にこの曲!というよりは、トータルの空気感かな。
これも後付けだけど、Neon Indianの「Hex Girlfriend」も多少入ってるかも。
僕の左chのシンセのフレーズの音色とか、この曲のサビのシンセと近いような気がする。
そういえばフェードアウト終わりは初めてやりました。自然とこれはフェードアウトだな、と。夏の夢っぽく…。
歌詞はこれもあまり書くことはないけれど、15歳くらいの少年少女の一夏、といったイメージです。サウンドに可愛げがある?のでそんな感じで。
今思うとアメリカンスリープオーバーっぽいのは、どちらかというとこちらかもしれない。
Myth of Summerはボーカル録りをわりと苦労したんですが、この曲は結構すんなり。サビ伸ばすから息がつらかったけども。
自分はあまり高域が出ないので、これくらいのテンションの方が歌いやすいし合ってるのかもなぁと思ったりした。曲のキー設定にいまだに結構悩むことが多い…。
ちなみにこちらはミックス、マスタリングまで自分で行いました。
あ、ジャケット画像は海外のフリーサイトを血眼で探し回って決定。
綺麗な海の写真はたくさんあったのですが、それは自分のイメージと違ったので思いの外時間がかかりました。
おわりに
各楽曲についてはこんなところかと思います。
1曲目は邦楽ロックからの影響だし、2曲目はUSインディー辺りの影響だし、そういうのは自分らしくて良いかもなと。総じて、これらを作りながら気持ち的には夏をできたので、そこに関しては満足しております。2022年の夏はこんな曲を作ったな、と思い出せる出来事となったことが大事です。うん。2021年の夏はあまり覚えていません。
というかライナーノーツってこれでいいのかしら。気付いたら、僕の好きな夏にまつわる作品紹介、みたくなってませんか?まぁそれもいいか。
とにかく、終わりゆく夏のお供として(もちろん夏以外の季節でも)楽しんでいただけたら、それ以上に嬉しいことはありません。
僅かながら一部の方に反応貰えたりしてとても嬉しかったです。ありがとうございます。
現在Spotifyの下記プレイリストでも聴くことができます。他の楽曲と合わせてどうぞ。
◎HOLIDAY! RECORDS 「新しい日本のロック new Japanese rock bands」
◎noesfm 「noesfm indie playlist」
さて、次に関しては全く計画がありません。どうしようかなぁ。
配信とかせず、サンクラに上げるだけでも良いかなぁとか考えたりもしますが、まぁまた考えます。
それでは、また。(なすなかにし)